講座レポート

NO.75ハーブで自然農薬作り

ハーブ栽培実習 応用クラス=

(11/27 伊勢原市 小泉ナーセリー)
<自然農薬とは>
  ハーブの薬効は動物だけでなく、植物にも利用できる。植物が身を守るために持っている香り・辛みなどの物質の中で、特に特色が強いものが薬効成分となる。これを利用するのが自然農薬。
<自然農薬の特徴>
  自然農薬は、漢方薬と同じ感覚で使う。化学薬品に比べ効果はゆるやかで弱い傾向にある。保存料が入っていないため、長く保存できない(放っておくと発酵して使えなくなる)。
<自然農薬の作り方>
  農薬の効果となる殺菌・防虫の成分を抽出する方法は、水煮・アルコール漬け・酢漬けがあるが、それぞれ成分の濃度と保存期間が異なる。
・濃度:アルコール漬け>酢漬け>水煮
・保存期間:アルコール漬け(冷暗所で2年以上)>酢漬け(冷暗所で2年くらい)>水煮(冷蔵庫で3ヶ月くらい)
★作り方★
A.トウガラシの水煮
①生トウガラシ600gを小口切りにする
②鍋に4lの水と①のトウガラシを入れ、沸騰してから約20分煮る
③トウガラシだけ取出して、すり鉢でペースト状になるまでよくする
④③のトウガラシを鍋に戻して、煮汁と合わせる。こうすることで、防虫効果を強くなる
⑤使用する時は、こして使う。保存は冷蔵庫で3ヶ月くらい
B.ニンニクの酢漬け
①ニンニク50~100gをすりおろし、500mlの酢につける。一番いいのは玄米酢。2週間ほどおく
②使用する時は、こして使う。保存は冷暗所で約2年。お酒(コニャック、ウォッカ、35度のリカーなど)なら2年以上。
<自然農薬使用上の注意>
  重要なのは、使うたびに、使う分だけ希釈して使うこと。AとBを同量ずつあわせて使っても良いが、それも使う時ごとに混ぜること。また、アルコール漬けにして作ったものは、特に成分が濃く出るので、希釈に注意が必要。酢漬けもアルコール漬けも、初めは300倍くらいにして散布し、薬効があるか、植物体を傷めていないかなど様子をみる。薄めから始めて、試しながら使っていくのが大事。長い間使用していると、薬効などがわかってきて、希釈濃度など判断できるようになる。
  また、自然農薬は化学薬品と違って、定量もなく、効果も弱く、ばらつきもある。無農薬で植物を育てるときに大切なのは、まず、元気な植物に育てること。土作り・整枝剪定・風通しや日照を良くする、など環境を整える。それでも出てしまった病虫害に対して、初期に有効、くらいに考えておく。蔓延してしまった被害には効果はあまり期待できない。