田舎の学校つれづれ

NO.31 農環境・住環境-これからどこに

東京では珍しい雪景色が続くこの冬です。ブロッコリー、白菜、大根などは「冬になるスイッチ」を入れる前に12月の急な寒さで生長できないまま、畑で凍りついてしましました。9月が暑くなって播き時・植え時のタイミングが10年前に比べてはかりづらくなっている上に、急激な寒さ、路地野菜栽培はますます難しいと感じます。
町田の里山再生を会員の方々と取り組んで6年あまり、その中心である谷戸の田んぼが今年も実りました。水田の機能が安定して「田舎の学校」の役割も終わり、これからは大谷さんを中心に残られた会員さんたちがこの里山を保全して行くでしょう。山間部と人の住む集落の間にある地域―田んぼや雑木林からなる場所が里山とよばれます。山間部を生活圏とするサル・イノシシ・クマなどが集落まで出没し、畑を荒らす被害が国中に広がっています。これは、干渉地帯の役割をしていた里山の手入れできずに荒廃してきたことが大きな原因と言われます。町田の里山に関わって、人の手が入ることの重要性を改めて感じました。そして何よりも、作業する私たちを支えて下さった大谷さんの母上様に感謝です。
「田舎の学校」の講座は『農』『住』をコンセプトに展開してきました。先日、『技の継承―京町家の再生を通して―』というシンポジウムに参加しました。京都の町並みを彩り町衆が住んできた町家が取り壊され、現代住居やビルなどに建て替えられていく現状を「これで良いのか?」という思いから始まった、町家を保全・再生する活動が20年経ち、その手法はモデルとして各方面から注目されています。町家を保全することは、継承されてきた生活や技を壊さず、住みやすいように再生して行くこと。住み続けること・生活することが何より大切で、そこに文化の継承がなされるのではないか。パネラーの一人、茶道を続けたいために京町家を取得、再生して住んでいる英国人のD・アトキンソン氏の話。英国など欧州の町並みが美しいのは、開発に厳しく、文化をいかに継承していくかに重点が置かれているため。それに比べて日本は史跡ばかり目立つ。大事なのは住んで保全すること。英国の家・町並みを変えることへの規制は、政府・行政だけでなく、住民も参加して活動をしているそうです。
日本の住居はこの50年で壊され、開発されてきました。快適で便利な暮らし方を手に入れましたが、壊すということで伝承されてきた文化も共に失われたのではないでしょうか。里山などの農環境も、再生不可能の段階に来ている所があります。2011年の震災と原発事故、経済不況、日本はターニングポイントに来ています。私たちは歴史・文化を継承するために何を選択していくのでしょうか。
(2013年2月 田舎の学校代表 田中直枝)