旬の野菜をたっぷり使った家庭料理を、野菜ソムリエの酒井文子さんにご紹介いただきます。
酒井文子
ベジタブル・フルーツマイスター、雑穀エキスパート、家庭料理研究家。2002年「田舎の学校」入会。家庭菜園実習、そば講座、みそ作り講座など受講。2003年より、田舎の学校「畑でクッキング!~旬野菜の家庭料理教室~」講師。
おすすめ夏野菜料理
旬を迎えたトマトにナス。おなじみの夏野菜ですが、今回は、炊き込みご飯にデザートと、いつもと違った味わいを楽しみます。
おいしい夏野菜その1「トマト」
「トマト」は、各種ビタミン、ミネラル、カロテンの宝庫ですが、注目すべきは、その旨味成分であるグルタミン酸です。トマトを使ったイタリア料理が日本人の口に合うのは、日本人が昔から食べてきた昆布などの旨味成分と同じグルタミン酸があるからだと考えます。サラダなど生で食べるだけでなく、煮たり、焼いたり、揚げたりして大いに食べましょう。トマトが沢山あるときは、ぜひ加工保存をお薦めします。煮てソースにして瓶詰め保存や冷凍保存、干してドライトマトにしてもおいしく召し上がれます。
きび入りトマトご飯 | <材料>4~5人分 |
トマト | 2~3個 |
サヤインゲン | 10本くらい |
タマネギ | 小1個 |
米 | 3カップ |
きび | 大さじ3 |
だし汁 | (干しいたけ、昆布)+2/3カップ
(昆布茶、コンソメ、チキンスープでも可) |
バター | (オリーブ油、サラダ油でも)30g
塩=小さじ1 |
塩 | 小さじ1 |
コショウ | 適宜 |
しょうゆ | 少々 |
作り方
- 米とキビは洗って、ザルにあげておきます。
- トマトは角切り、タマネギは粗みじん切りにします。
- サヤインゲンは塩(分量外)茹でにし、小口切りにします。
- フライパンにバターを溶かし、タマネギを加えて炒め、さらにトマトを加えて炒め、塩・胡椒をします
- 鍋or炊飯器に、米・キビ・だし汁と4を入れ、香り付けに醤油少々を加えて炊きます。
- 炊き上がったら、サヤインゲンを加えて混ぜ合わせ、器に盛ります。>
おいしい夏野菜その2「なす」
現在では、一年中出回っている「なす」ですが、本来の旬は6~9月です。注目すべき成分は、紫色の皮に含まれているアントシアニン(ナスニン)というポリフェノールの一種で抗酸化作用があるとされています。煮物、焼き物、揚げ物、漬物と幅広い料理に使えます。ただ保存には気をつけていただきたいことがあります。冷蔵庫に入れておいたなすが、切ったら中の種の周りが茶色になっていたことはありませんか、『なすは風邪を引きやすい』ので、冷蔵庫に入れるよりは、涼しい室内に置いた方が良いようです。
なすと黒米のぜんざい風 | <材 料> 4人分 |
なす | 2本 |
黒米 | 1/2カップ |
砂糖 | 1/2カップ |
塩 | 少々 |
ココナツミルク(粉) | 20g |
お湯 | 100cc |
作り方
- なすは、大きめの角切りにし、あく抜きのため塩水につけます。
- 十分に水気をふき取り、分量の砂糖をまぶしておきます。
- 黒米は鍋に300ccの水と一緒に入れて、軟らくなるまで煮ます。
- 黒米が軟らかくなったら、2のなすと塩少々を加えてしばらく煮ます。
- ココナッミルクは、分量のお湯でよく溶いておきます。
- なすと黒米が煮あがったら、器に盛り、ココナッミルクをかけます。
*冷やしてもおいしいですし、ゼラチンや寒天を加えてゼリー風や羊羹風にしてもおいしいです。
もともとハーブは、人の暮らしに役立つ薬草をはじめとする植物のこと。身近なハーブを使って、日々の暮らしに役立て、楽しみましょう!指導は「田舎の学校」講師・小泉美智子先生、高須しのぶ先生、吉本フジ子先生です。
★ハーブオイルで作る アロマ防虫スプレー
(指導:高須しのぶ)
ハーブのエッセンシャルオイルで防虫スプレーを作ってみませんか。化学性の商品に比べて効果や保存性は少ないですが、香りも自然で、気持ちよく使えます。オイルは虫よけ効果のあるレモングラス・ユーカリ・ミント・ラベンダー・月桃など。ブレンドしてもOK。
《材料》
- 日付を入れるシール
- スプレーボトル(100ml) 1本
- 無水エタノール 20ml(薬局で購入できる)
- 精製水 80ml( “ )
- エッセンシャルオイル 10滴
〔作り方と注意〕
- 材料すべてを混ぜれば出来上がり。日付を入れて、2週間くらいで使い切ること。
- 使用前に必ずパッチテストすること。合わない場合は使用中止。
- オイルの原液に直接肌が触れないように。
★ローズマリーの食器用石鹸
(指導:吉本フジ子)
ローズマリーと柑橘類の皮にはすぐれた消毒殺菌作用があり、純粋粉石けんは手あれもなく、環境にもやさしい。
《材料》
- ローズマリーの枝10cm×6本
- みかん類の皮1個分
- 水1L
- 粉石鹸1/2カップ
〔作り方〕
- 鍋にローズマリーの枝とみかんの皮と水を入れ、蓋をして30分煮出す。
- 熱いうちに漉し、純粋粉石けんを入れ、完全に溶かす
★ハーブビネガー・ハーブ醤油
(指導:吉本フジ子)
収穫したフレッシュハーブをいろいろまぜて、オリジナルの調味料を作ります。いつものお味噌や酢や醤油が、魔法の味に変わります。
-用途-
ハーブビネガー:ドレッシング、マヨネーズ、マリネ、ピクルス
ハーブ醤油:ドレッシング、マリネ、煮物など
《材料》
(今回はフレッシュ)ローズマリー、バジル、タイム、マジョラム、セージ、ミント、ユズ、タラゴン、シソ、パセリ、ニンニク、生姜、唐辛子、セロリ、ニンジン
〔作り方〕
- 材料のフレッシュハーブを洗って、水気を拭き取り、ガラス瓶に詰める(金属製の蓋は避ける)
- 材料が浸かるだけのビネガー(醤油)を加え、蓋をして、時々振る。
- 2~3週間で使えるようになる
- 使いながら、途中でハーブとビネガー(醤油)を加えていき、オリジナルの味を楽しむ。
★鶏手羽のハーブ風味
(指導:吉本フジ子)
《材料》
鶏の手羽先、ゆで卵、油、合わせ調味料(ハーブビネガー、ハーブ醤油、酒、砂糖)、ニンニク、生姜
〔作り方〕
- 合わせ調味料のビネガー・醤油・酒は同量にし、好みで砂糖を加え、混ぜておく
- 厚手の鍋に油を熱し、ニンニク、生姜を入れ、鶏肉を炒める
- 焦げ目が着いたら、①をひたひたに浸かるくらい加え、ゆで卵を入れ、弱火でじっくり煮込む
★米ぬかボディスクラブ
(指導:高須しのぶ)
ビタミン・ミネラル・脂質が豊富な米ぬか。汚れや角質によるくすみを取り除き、保湿効果もあり、お肌がすべすべになります。好みのハーブを混ぜ、香り良いスクラブ剤を作ってみましょう。
材料
- 米ぬか大さじ1 好みのドライハーブ3g(精油3滴でもOK)
- カオリン小さじ1(花崗岩からできた粘土の粉。ミネラル豊富で皮脂の汚れを吸着、くすみを取り、肌を明るくする。東急ハンズなどで入手可能)
作り方・使い方
- ドライハーブを電動ミルにかけ(すり鉢でも可)、粉末にする。
- 米ぬかとカオリンを器に入れ、粉末にしたハーブ(または精油)を少しずつ茶漉しでふりながら加え、よく混ぜる。
注意ポイント
- 密閉容器に移し、日付を記入。必ず冷蔵庫で保存し、2週間以内に使い切ること。
- 上記材料で約3回分です。使うたびに取り出して、ヨーグルトやハチミツ小さじ1を混ぜ、指の腹でゆっくりのばしながらマッサージする。
- パッチテストを忘れずに。
- 異臭・異変が起こったらただちに使用を中止、処分する。
- カオリンなしでもガーゼにくるみ、ぬか袋のように使える。
★ドクダミ化粧水
(指導:小泉美智子)
材料
作り方・使い方
- 最も薬効が高いといわれる土用の丑の日頃のドクダミの葉を摘み、軽く洗って、水分を丁寧にふき取る。
- リカーの中に、葉を浸け込む。このとき、葉がリカーの中にしっかり浸かっていないと空気に触れた部分がカビるので、注意する。
- 3ヶ月間、冷暗所で置いてから、漉す。この状態で2~3年は保存可能。
- 1週間で使い切る分量を小さな瓶に取り分け、保湿用のホホバオイルを好みの分量混ぜて、よく振って使う。使う時は、パッチテストを忘れずに。
注意ポイント
*ドクダミは、危険のないきれいなところで育つたものを採取すること
★ローズマリーとセージのリンス
(指導:小泉美智子)
ローズマリーは黒髪につやを与え、セージはふけを防ぐ。きしきしとして、さわやかな使い心地です。
材料
- ローズマリーの枝2本
- セージの枝1本(各20㎝くらいのもの)
- 水1L
作り方・使い方
- 鍋(ステンレス・ホーロー・ガラス)に水とハーブを入れ、30分で水が半量になるくらいの火力で煎じる。
- 漉して、冷蔵庫で保存。毎回取り分けて使う。冷蔵庫から出してすぐ使う場合は、栓のできる容器に入れて湯船に浮かせておくとよい。
収穫した旬の野菜、どう食べる?どう保存する?農家には料理本にはないさまざまな知恵がたくさんあります。実習でお世話になっている各地の農家に、 ”我が家の一皿”レシピをお聞きします。
★ゴーヤのレシピ
次々に実を成らせるゴーヤ。大豊作で、食べきれないこともあるのでは?そこで、たくさん使えて調理も簡単、しかもオツな味のレシピを二つ、ご紹介します。教えてくださったのは、「家庭菜園実習」美里教室講師・茂木清一さん。
「ゴーヤのかりんとう」
「かりんとう」は お茶請けのみならず、ビールのおつまみにも、いけます。
材料
- ゴーヤ
- 砂糖(ゴーヤの重さの半分を目安に、お好みで)
作り方
- ゴーヤを縦半分に切り、中わた部分(タネ)をスプーンなどでかき取る。
- 適当な厚さに切って、水洗いする。
- 熱湯に入れ、茹で上げる(約5分)。水切りする。
- フライパンにゴーヤと砂糖を入れ、汁気がなくなるまで炒める(20分弱)。
- 最後に、砂糖をまぶす(写真左)。黄な粉をまぶしてもおいしい(写真右)。
「ゴーヤの佃煮」
「佃煮」は、じゃこやごまも入った栄養満天の一品です。
材料
ゴーヤ1kg
しょうゆ150cc
砂糖150cc
酢100cc
削り節30g
じゃこ30g(1カップ)
すりゴマ30g(1カップ)
作り方
- ゴーヤを半分に切り、タネとワタを取り、3~4mmの薄切りにして、水に浸してから湯がく(10分くらい)。
- 鍋に湯がいたゴーヤとすりゴマをのぞいた材料を入れ、最初は強火で煮る。煮立ったら中火にして、時々混ぜながら、汁気がなくなるまで煮込む。
- 最後にすりゴマを入れ、2~3分煮込んで出来上がり
★藤沢市・相原佐江子さんの「くず芋あんかけ餅」
藤沢市の有機農業家・相原成行さんのお母さんの佐江子さん。
相原家の年末行事「煤はき」の日、お昼に欠かせないお芋のあんかけ餅です。小さいかけらのような”くず芋”も無駄なく使えます。
材料
- サツマイモ500g
- 水250cc
- 砂糖大さじ1.5~
- 塩小さじ1~
- 水溶き片栗粉(片栗粉大1・水大2)
- お餅
- 柚子
作り方
- 芋は1㎝前後の輪切りにして水にさらしておき、水を切る
- 餅・柚子以外の材料を鍋に入れる
- 強火にかけ、煮立ったら弱火にし、芋が軟らかくなるまで煮る
- 水溶き片栗粉を加える
- 柚子を皮ごとおろす
- お餅を適当に切り、芋あんをまぶす
*砂糖・塩はお好みで調節して下さい。相原家ではゆでたお餅を使います。
★三鷹市・石井久子さんのナスの漬物
「家庭菜園実習」三鷹教室・石井昭広さんのお母さんの久子さん。農園の庭先販売でも評判の味です
材料
作り方
- ボールに塩:明ばんを6:1の割合でよく混ぜておく
- ナス(塩がまんべんなく行き届く量)を入れて、混ぜる
- 漬物容器に②を入れ、1/4くらいの高さまで水を入れる。これは、水を早く上げるため。重しを乗せて一晩置く