田舎の学校つれづれ

NO.11「食糧の需給」

   まれにみる降雪量の少なさで冬を越し、米作への影響が心配され、四国ではすでに取水制限が始まったとか。周りには食品が溢れ一見豊かに見える食糧も、世界的に見れば、開発発展途上国の人口増加・所得水準の上昇に伴う食生活の変化・環境悪化などで不足している現状にあり、これからはさらに悪くなる需給見通しがあります。
   日本の食糧自給率はカロリーベースで約40%と、主要先進国の中で最低の水準にあります。自給率低下の主な要因は、米を食べなくなったこと。さらに肉類や植物油の消費増加で、家畜の飼料や油の原料の輸入が拡大したことがあげられます。
   私が成長した1950~60年代前半には、家に魚屋、八百屋、肉屋、酒屋などの御用聞きが注文を取りに週に数回やってきました。近所には個別の商店があり、買う物を暗記させられ買い物に何軒かの店を廻ったことを思い出します。店の人はどこの娘かを覚えていて、買う物を間違えたり忘れたりすると、手助けをしてくれたものです。そこに住む人々を把握し、地元に密着した商いをしていました。その頃の食事は品数も少なく、国産の食料がほとんどだったのでしょう。物流も保存方法も発達しておらず、地元産の野菜・旬の魚などが食卓に上りました。豊かではなかったけれど、食品が身近にあったように感じます。
   その後の食生活の欧米化は著しく、また近年は日本型の食生活が見直されています。食糧の流れもグローバルになることは当然ですが、地元産・国産をもっと大切に、私たちが消費し生産者を支援していくことが、食糧自給率アップにつながり、農業・漁業の活性化にもなるでしょう。

(2007年5月 田舎の学校代表 田中直枝)