田舎の学校つれづれ

NO.10「バイオエタノールと食糧の自給」

   この冬は経験したことのない暖冬です。2月の明るさと暖かさは3月並みで、もう春が来たと思いながら過ごしています。地球温暖化が身近なことになり、CO2削減は待ったなしの状況です。
   今注目のバイオエタノールはガソリンの代替エネルギーとして注目され、すでに米国やブラジルなどではガソリンに混ぜ、一部実用化され輸出されています。穀物の糖分に酵素菌をいれてアルコールにする、これがバイオエタノールで、トウモロコシ・大豆・サトウキビなど、もちろん米からも作ることができます。ビックビジネスのチャンス到来と、既に穀物の奪い合いが始まっています。メキシコでは主食・トルティーヤの原料のトウモロコシが高騰して貧困層の生活を脅かし、ブラジルでは輸出用に熱帯雨林を大豆畑に替え、大豆輸出国だった中国や米国が直接買い付けをしている等々。世界のグローバル化の中で、穀物生産は食糧供給の他に、エネルギー供給という役割も担い始めました。
   各国には独自の食習慣・食文化があり、食糧生産があります。自国の食糧は自国で確保する、これは基本です。グローバルな流れの中で、富める国と貧しい国、富める人と貧しい人の格差はますます広がり、貧しい国々の畑を富める国がビジネスのための畑にしていく、そら恐ろしいことが現実になっています。せっかくのバイオエタノールという素晴らしいものが、ビジネスのみの対象になり、結果世界の均衡を壊していくことにならないでほしいと思います。
   日本でもサトウキビや規格外トウモロコシやジャガイモなどからバイオエタノールが作られていますが、ガソリンとの混合方式の違いで実現が足踏みです。世界の、また我が国のこれからの展開を注視したいと思います。

(2007年2月 田舎の学校代表 田中直枝)