NO.3「畑でクッキング!」
「田舎の学校」の主な講座は各種の農業関連講座。その中心にあるのが家庭菜園実習です。
農業は私たちに食料を供給し、畑が食料生産の場となります。その場をお借りして私たちは実習を行っていますが、受講生の間では収穫した野菜をどのように調理するか、よく話題になります。取りたての野菜は格別においしいのですが、これをもっとおいしく、いろいろな料理で食べてみたい!できたら収穫してすぐにその場で食べたい!「畑でクッキング」の原点はここにあります。 そんな願いをかなえてくれたのが、星野農園です。ふだん、農園で作業をしている人たちの休憩所になっているビニールハウスには、簡単な厨房施設があり、雨風が防げ、25人は入れる。初めは不足がちだった調理器具も次第に揃い、今では大体の料理ができるようになりました。星野さんが廃品の風呂シンクを利用して作ってくれた”石焼き芋器”は冬場の菜園実習や料理教室のおやつ作りに欠かせません。「こんな所でいいの?」と星野さんからは聞かれましたが、「田舎の学校」ならではの料理教室はこの方法が一番。今では人気講座になり、リピーターも増えました。
盛んに「食育」ということがいわれています。あらゆる国々の食べ物が輸入され、食料自給率は40%を割る現状、また季節に関係なく店に並ぶ野菜や果物、日本のこの様な”食”がおかれている状況を足元から見直そう―そんなことが契機となり、「食べること」からいろいろ学ぼうという取組みが、学校などで始まっています。良好な野外環境で旬野菜を収穫し、調理をし、食べる。「畑でクッキング」は食育を意識したことはありませんが、この試みに通じるものがあります。地産地消(地域で生産した物は地域で消費)、スローフード・スローライフ、皆同じ流れにあります。
(2005年5月 田舎の学校代表 田中直枝)