NO.23「遅霜・ミツバチ・自然環境」
4月になって雪が降り、遅霜が幾度もあり、「田舎の学校」の実習地でも、3月初めに植え付けたジャガイモの芽が、
霜で黒くなりました。今は元気に2番手、3番手の芽が育ち、このまま行けば例年通りの収穫が迎えられそうです。三鷹の星野直治さんから以前に伺った話で、星野さんも父上から教わったそうですが、”天候不順で遅霜のある時はケヤキの芽吹きがまばらになる”のだそうです。
一度に芽吹くと霜にやられるので、様子を見ながら分けて芽を出すケヤキの様子を参考に、農家は種まきや苗植え時期を考えたのでしょう。
この春のケヤキは少し芽吹いている個所や全く芽吹いていないところなど、いつもは美しい新緑に異変がありました。
今は揃って葉を広げています。天候不順を何時の段階でケヤキは知るのでしょうか?自然界の不思議を感じます。
昨年あたりから西洋ミツバチのオーストラリアからの輸入が減り、イチゴなど果樹農家が困っているというニュースを耳にします。
ミツバチの不足の原因は、ウィルス説・農薬説・気候変動説などありますが、はっきりしないそうです。この春から始まった「日本ミツバチ養蜂講座」に参加されている方々が、昨年はミツバチが少なく、家庭菜園のカボチャなどの受粉がうまくいかなかったと話されていました。講師の荒野さんも、ミツバチ、特に西洋ミツバチが少なくなったとおっしゃっています。ミツバチは「環境指標動物」といわれ、ハチたちが安全で安心して生活できる場所は人間も安心して住める場所です。地球環境に目に見えない変化が生じているのでしょうか?
ミツバチといえば、今はちょっとしたブームです。銀座松屋の屋上にミツバチが飼われ、その蜜を使ったケーキや料理が話題になっていますが、そのプロジェクトを遂行している田中淳夫さんの案内で2007年に屋上のミツバチを見学したことがあります。「へー!こんな所に」と驚きでしたが、このプロジェクトの目的は、HPにあるように「ミツバチの飼育を通じて、銀座の環境と生態系を感じるとともに、採れたハチミツ等を用いて銀座の街と都会の視線の共生を感じること」です。ミツバチを共通言語として街作りを、という発想の素晴らしさに脱帽です。
さて、荒野さんは3~4年前から度々ミツバチの話をするようになりましたが、そのうち飼育を始め、年々飼育箱も増え、
『日本ミツバチの12ケ月・養蜂作業ノート』を仲間と編集し、ミツバチも出荷。そして、今年はついに講師として私たちの指導をして下さることに。いつもながらの熱心な勉強・精進で、「きのこ採り」同様に「田舎の学校」にうれしい講座を提供して下さっています。せっかく日本ミツバチを飼うのだから、秋には美味しい蜜と香り高い蜜蝋が採れますように、これも自然界の安定が何より大切ですね。
(2010年5月 田舎の学校代表 田中直枝)